ChatworkとBPaaSを展開するkubellに聞く──AI時代に求められる新卒エンジニアの素養とは

ビジネスチャット「Chatwork」を中心に、AIを活用したBPaaS(Business Process as a Service)事業を展開するkubell。


導入企業数97万社以上、登録ユーザーID806万以上(2025年12月末現在)が利用する大規模基盤と、AIを活用した高速なプロダクト開発の両方を推進する同社では、どのようなエンジニアが求められているのでしょうか。

今回、kubellで新卒採用・育成を担当されている小幡さんと黒田さんに、事業の特徴やエンジニアのキャリア、採用基準、そしてRecursionで学ぶ学生の評価についてお話を伺いました。

kubell インタビュー

株式会社kubell 様

https://career.kubell.com/

CTO出身CEOが率いるプロダクトカンパニー──kubellが展開する2つの事業

まず、kubellという会社について教えていただけますか。

弊社は「働くをもっと楽しく、創造的に」というコーポレートミッションを掲げています。代表の山本正喜は、CTO出身のCEOで、生粋のエンジニアです。

もともと学生起業をして、ものづくりを通じて価値を生み出し、それがそのままお客様の価値になり、売上にもつながっていく、という経験をしてきました。その中で、「働く」ということ自体が、本来すごく創造的で面白いものだと感じてきた背景があります。

一方で、世の中を見ていると、必ずしもそうではない働き方も多い中で、働くという時間がその人の創造性やアイデンティティを発揮できるものになるようにしたい、という思いが、このミッションにつながっています。

その上で、現在の事業の柱は大きく二つあります。

1つ目が、ビジネスチャットの「Chatwork」です。97万社以上、806万以上のユーザーに使っていただいているサービスで、特に中小企業のお客様を中心に広くご利用いただいています。ITに詳しい人がいない企業でも使いやすい設計になっているため、自然に導入が広がってきたという背景があります。

もう1つが、BPaaS(Business Process as a Service)という事業です。これは、採用や経理、労務といった業務プロセスそのものを、AIエージェントやSaaS、人の力を組み合わせて代替するサービスになります。

ツールを提供するSaaSベンダーでなく、「業務そのものを任せていただければ、結果として業務が完了する」というプロバイダーとしての価値を提供しています。特に、人手不足という課題を抱えている企業にとって、大きな価値をもたらせるサービスだと考えています。

現在は、Chatworkを基盤にBPaaSを組み合わせることで、より幅広い形でお客様の課題解決に貢献していきたいと考えています。

大規模基盤とAIプロダクト、2つの領域で広がるエンジニアのキャリア

エンジニアにはどのようなキャリアの方向性がありますか?

大きく分けると、二つの方向性があります。

1つが、Chatworkという大規模プロダクトの基盤を支えていく領域です。すでに多くのお客様に利用していただいているサービスなので、24時間365日止めることができません。その中で、高い信頼性を維持しながら開発・運用をしていく必要があります。

その中で非機能要件の難易度が高い、負荷分散やアーキテクチャの改善、安定運用の仕組みづくりなどに取り組みながら、大規模システムを支えるエンジニアとして成長していくことができます。

もう一つが、BPaaS領域でのプロダクト開発です。こちらは、AIやSaaSを組み合わせながら業務そのものを代替するサービスを開発している領域で、かなり高速なアジャイル開発でプロダクトを成長させていくのが特徴です。

実際に、新卒1年目のエンジニアが顧客のもとへ直接出向き、「この機能は使えそうか」を確認しながら開発を進めています。そして、MVPを素早く実装し、フィードバックをもとに改善を繰り返していきます。フルスタック開発はもちろん、AIを活用したプロダクト開発にも関われる環境です。

この2つの領域は固定されているわけではなく、キャリアの中で行き来することもできます。大規模基盤とAIプロダクト開発の両方を経験できるのは、エンジニアとしての市場価値を高められる環境だと思います。

採用で重視していること──技術力以上に見ている「本質的な力」

Chatworkのような大規模システムの開発経験がない学生でも、採用されるのでしょうか?

はい、結論から言うと、そういった経験がない方も採用しています。

もちろん、個人開発で何かをデプロイしていたり、実務経験があったりするとプラスになります。ただ、入り口の技術力そのものよりも、素養の部分を重視しています。

例えば、複雑なドキュメントでも粘り強く読み続けられるかとか、そのプロセス自体を面白がれるかとか。知的好奇心や思考力、それを行動につなげられる力ですね。

実際に入社後に大きく成長しているのは、そうした素養を持っている人たちです。プロダクト志向で、自分で考えながらキャッチアップしていける人が活躍しています。

AIの普及によって、採用基準は変わりましたか?

現時点では、AIが入ったからといって、採用基準が大きく変わったということはないですね。

AIが出てきたからといって、本質的な部分は変わっていないと思っています。

技術はどんどん変化していきますが、「今何が求められているのか」を考え、自分で仮説を立てて行動できる人が活躍しています。

また、企業の中で最終的に意思決定をするのは人です。プロジェクトを動かす、投資を判断する、といった場面では、その人のコンピテンシーやソフトスキルが非常に重要になります。

技術力だけでなく、思考力やコミュニケーション力、主体性といった部分を含めて評価しています。

Recursionの学生に感じた強み ― kubellが評価した3つのポイント

実際にインターンに参加したIさんとOさんについて、どのような点を評価されましたか?

大きく分けて、3つの点があるかなと思っています。

① 貪欲なキャッチアップ力と学び続ける姿勢

まず1つ目は、キャッチアップ能力の高さです。インターン期間中、講義形式の内容や推薦書籍なども用意していたのですが、その短い期間の中でも「持って帰れるものはすべて持って帰ろう」という姿勢で、本当に貪欲に吸収しようとしているのが印象的でした。わからないことがあっても止まるのではなく、自分で調べ、理解し、前に進んでいく。日頃から学習習慣が身についているからこそ、こうした短期間でも大きく成長できるのだと思います。

② ユーザー価値に立ち返れるプロダクト志向

2つ目は、常にユーザー視点に立ち返れる点です。議論が技術的な各論に入り込んで停滞したときでも、「今の目的は何だったか」「ユーザーは本当にこれを求めているのか」といった形で、本質に立ち返る問いを投げかけることができていました。技術そのものではなく、「誰のために何を作っているのか」という目的を中心に考えられる姿勢は、プロダクト開発において非常に重要な素養だと感じています。

③ コンピテンシーの高さ ― 言語化力・行動力・誠実さ

3つ目は、コンピテンシーの高さ、つまりエンジニアとして成長していくための素養の高さです。例えば、チーム開発で意見の対立が生じた際も、すぐに誰かを頼るのではなく、「自分たちの力で最後までやり切りたい」と、困難な状況の中でも主体的にチームで解決しようとしていました。この姿勢には、メンター陣も非常に感銘を受けていました。

また別の学生についても、日頃から自分のプロダクトについて「なぜこの設計にしたのか」「どのようなプロセスで作ったのか」を明確に言語化できており、単に開発するだけでなく、試行錯誤の過程そのものを深く考えていることが伝わってきました。さらに、海外での就業経験や学び直しなど、自ら環境を変えながら成長の機会を掴みにいく行動力も見られました。

こうした、

  • 困難な状況でもやり切ろうとする姿勢
  • 自ら考え、言語化できる思考力
  • 成長のために行動を起こせる主体性

といった素養の高さは、共通して感じられた強みでした。技術力は入社後にも伸ばすことができますが、こうした素養を持っている方は、実際に入社後も大きく成長し、活躍されているケースが多いと感じています。

Recursionに対する評価と、企業として感じている価値

Recursionの学生や育成環境について、企業としてどのように評価されていますか?

率直に言うと、学生一人ひとりにしっかり向き合っている点が印象的でした。

実際に学生の方々と話している中でも、「ここまで自分と向き合ってくれるとは思わなかった」といった声を聞くことが多くありました。単に技術的な指導をするだけでなく、その人自身の志向やキャリアについて深く考え、必要なことはしっかり伝えている。その姿勢が、学生との信頼関係につながっているのだと思います。

採用の観点では、学生が最終的にどの企業を選ぶかという点も重要になりますが、Recursion経由で紹介された学生については、途中で大きく志向がぶれることが少なく、一貫した意思を持って進んでいる印象があります。それだけ、学生自身が納得した状態で意思決定できているのだと感じています。

また、育成の観点でも、単に優しいだけではなく、必要なことはしっかり伝える「グリップ力」のようなものがあると感じています。

学生の背景や志向を理解した上で、「本当にその方向がその人にとって最適なのか」といった本質的な部分まで踏み込んで支援しているからこそ、学生自身も納得感を持って成長できているのだと思います。

実際にインターンに参加してくれた学生の姿を見ても、技術力だけでなく、キャッチアップ力や主体性、プロダクト志向といった、エンジニアとして長期的に活躍していくための素養を備えている方が多いと感じました。企業としても、こうした素養を持つ学生と出会えることは非常に価値がありますし、安心して採用を検討できる環境が整っていると感じています。

今後も、Recursionのように、技術力だけでなくコンピテンシーの高い人材を育成している教育環境との連携は、採用活動においてますます重要になっていくと考えています。

大規模プロダクトとAI時代を支える人材を育てるRecursionの役割

今回のkubellへのインタビューを通して印象的だったのは、kubellが求めているのは単に最新技術を扱える人材ではなく、基礎力とコンピテンシーを土台に、不確実な環境の中でも自ら学び、成長し続けられる人材だという点でした。

実際に評価されている学生の話からも、短期間で貪欲にキャッチアップする姿勢や、ユーザー価値を起点に考えるプロダクト志向、そしてチームの中で主体的に課題に向き合う姿勢が、大規模プロダクトやAIを活用した開発の現場で、高く評価されていることが分かります。

kubellのように、数百万ユーザー規模の基盤を支える開発と、AIを活用した高速なプロダクト開発の両方に取り組む企業にとって、技術力だけでなく、「学び続ける力」と「変化に適応する力」を持つ人材は、これまで以上に重要になっています。

Recursionが目指しているのも、まさにそうした基礎力とキャッチアップ力、そしてプロダクト志向を持つエンジニアを育てることです。学習の積み重ねを実際の開発現場につなげることで、学生にとっては大きな成長機会を、企業にとっては将来の中核を担う人材との出会いを生み出していきたいと考えています。

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